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ここでは雑誌やTVなどの取材でいただいた質問をインタビュー形式でご覧いただけます。

 

 

RINGO開発ストーリー  ~RINGOに込められたデザイン哲学~

 

 

Q: 先ずはじめにRINGOをつくるキッカケを教えて下さい。

 

アトリエヨンマルハチ 代表 長野(以下Aと記): RINGOは2010年春に開発をスタートさせ、同年12月に販売を開始いたしましたが、それ以前の2004年頃から【猫ハウス】のスタディは始めていました。それがRINGOの前身という位置づけの【POCKE】という作品になるのですが、試作・実験が終わり、いざ商品に移行しようとすると素材と形状、製法とコストというありきたりな現実にぶつかり、計画はそれ以上進まなくなりました。事が動き始めたのは2009年の『ビジネスマッチングフェア広島』に足を運び【大和株式会社】のブースに立ち寄ったことがきっかけです。そのブースでは強化ダンボールによる椅子やテーブルが展示されていました。ボクはそれらを見た瞬間に『これだっ!猫にモッテコイだっ!!』と直感でイメージが湧いたのを記憶しています。

 

 

Q: それからすぐにデザインが決まったのですか?

 

A: いえ、概ね頭の中にはありましたが、まずはあえて遠回りをするようにあらゆる可能性を何十枚ものA3のコピー用紙に吐き出す作業を始めました。そうすると変な欲や無駄な思考がみるみる現れて来るので、少し時間をおいて冷静に客観的に再び見返し、邪念を取り払っていくという作業を半年間繰り返しました。そうすることで思考が研ぎ澄まされ、無駄のない洗練されたアイデアとなって姿を現わすのです。結果、最初にぼんやり浮かんでいたRINGOの原型となるアイデアを進化させ大和株式会社へ持ち込み、プレゼンテーションさせていただきました。それが2010年5月のできごとです。

 

 

Q: どのような反応でしたか?

 

A: 快諾でした。『我々もこのようなアイデアが欲しかった!』『是非作りましょう!』と (笑) そんなことは稀なので嬉しくて鳥肌が立ちましたよ。

 

 

Q: 開発は順調に進みましたか?

 

A: これが大変でした(笑) まずは試作品を作ることになったのですが、ダンボールをカットするための最初のデータ(図面)のやりとりからつまづきました(笑)なんとかそれを乗り越えると次はダンボールの特性に悩みました。ダンボールの目の向き、厚さ、裏表、裁断の仕方、貼り合わせ方・・・これらを全てコントロールし、一つのカタチにするまでにみっちりひと月掛かってしまいました。その試作1号を我が家の愛猫3匹に、試作3号は14匹もの猫達と暮らすモニターを引き受けていただいたご家族にテストしてもらいながら改良点を見つけ出し次の試作に反映するという作業を幾度となく繰り返しました。その時点での目標は同年9月に催される【ビジネスマッチングフェア広島に出展する!】でしたので我々に残された時間は実質2か月を切っており、完成度を商品クォリティにまで引き上げる作業はなかなかしびれるものがありました。

 

 

Q: 間に合いましたか?

 

A: ビジネスマッチングフェア当日の朝 貼合わせたばかりのRINGO3体が会場に搬入されたのを憶えています(笑) どれも素晴らしい出来映えでした。

 

 

Q: RINGOのデザインについてお聞かせください。

 

A: 【デザイン】と【スタイリング】をそれぞれご説明いたします。

 

デザインについて:猫サイドへの機能としては【入る・乗る・研ぐ】という猫の習性を満たしてあげるという思想を柱としています。これらを実現するには強化ダンボールの特性を理解し、機能するようにデザインする必要がありました。我々は大きさや目の向きなど、爪研ぎとして機能させるにはルールがあることがわかっていましたが、意外なことにダンボールでできている猫グッズの多くは、この特性をRINGOほど巧みに利用していないのが現状です。RINGOが他の多くの製品にアドバンテージがあるのは、アイデアと研究とデザイン力の結晶だからだと感じています。しかし、RINGOが根強く支持されているのはこの次に挙げる点がその要因だとボクは感じています。

 

それは人間サイドへの機能として【見・笑・楽】を盛り込んでいる点です。

 

・見 = 猫がいる時もいない時も嬉しいたたずまい

・笑 = 愛猫が遊んだりくつろぐ姿を見て笑顔に

・楽 = 強化ダンボールを使用し研ぎクズを大幅に減少+長持ち

 

この3点は【愛着】に通じていると考えています。愛着は『モノを大事にしたい』と思う気持ちを育み手放すまでの時間を限りなく永くしてくれるという機能を生み出してくれます。永くモノを使うことが現代人には難しい世の中になってしまっていますが、そうした流れに歯止めをかけ、永く愛してもらえる商品を作ることがこれからのモノづくり人にできるエコ活動になるのだと考えています。しかもRINGOの素材はダンボールですから燃えるゴミではなく資源です。つまり猫も、人も、地球も喜ぶ猫ハウスというわけです。

 

スタイリングについて:スタイリングに関して多く耳にするご意見は【蚊取り線香のブタ】です(笑) これはポジティブに受け取っています。日本に古くからある素敵な文化のひとつですし、単体で見ると確かにそっくりですよね(笑) ボクも日本人なので脳に焼き付いているのでしょう。ただ、ボクがRINGOで表現したかったのは実は【張子のトラ】なんです。張り子のトラならぬ【張子のネコ】。愛猫がRINGOからニュウっと顔を覗かせたときには誰もが愛おしく感じますよ。お腹の大きな母猫のようにズングリしたプロポーションは心地よかった胎内を彷彿とさせ周囲の人々にも温もりを与えてくれます。ユーザーの皆様の中には【もう1匹の4本脚】なんて呼んで下さる方がいるほど【愛着】は浸透しているようです。また脚が4本あることで高床式の居室になり、床面温度の影響を受けにくくすると同時に通気性の向上という面においても非常に効果的であり、このこともRINGOのデザイン性やオリジナリティを高めることに貢献しています。

 

 

Q: 最後に一言

 

A: RINGOは決して安価な商品ではありませんが関わっている人間の沢山の想いと経験、努力の積み重ねが詰まっている商品です。皆様と愛猫との素敵な時間にRINGOを加えていただけたら幸せに思います。

 

 

 

 

アトリエヨンマルハチ 代表 長野真也

 

 

 

 

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